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VPSとは?
FXについて調べていると度々目にするVPSという言葉がありますが、そもそもどういった意味かご存知でしょうか?
VPSは「virtual private server」の略で、日本語にすると仮想の専用サーバということになります。
専用サーバといえば、サーバとして稼働しているパソコンをそのまま1台1人で利用する方法になります。
一方で仮想専用サーバは1台のマシンを複数人で利用する形式になっています。
複数人で利用するのですが、内部的にOSから分かれているので、マシン上で動かすソフトウェアについて自由度が高く、相互干渉もしないという特徴を持っているシステムになります。
とても簡単に言ってしまえば、オンライン上に自分専用のパソコンを1台用意している状態と言えば良いでしょうか。
VPSを利用すれば、自分のパソコンを利用せずにソフトウェアを常時動かす事ができます。
つまり、24時間稼働させたいシステムをオンライン上で動かすことで、自分のパソコンを消していても問題がないという状況を作れるわけです。
ただし、OSの操作でできる範囲のことなら自由にできる反面、ハード面の設定や切り替え、回線などについては自由度がありません。
あくまでも、用意されたハードの中でソフトウェア上で自由に利用できるという事になります。
FXにおいては自動売買システムを利用したトレードが主流になりつつありますが、このシステムを常に稼働させるためにはパソコンの電源を入れっぱなしにしておく必要があります。
これには当然ながら電気代がかかりますし、常に稼働させておくのは不安がある人も少なくないでしょう。
そういった人が利用するのがVPSというわけです。
もちろんVPSは仮想的に1台のサーバを利用できるよにしたものですから、本来の専用サーバと比較すると少し性能は落ちます。
その代わりに、比較的安価で利用できる仕組みになっているのです。
本当の専用サーバを利用すれば、その性能は非常に高いのですが、コストと利益を比べると多くの場合はVPSの利用に落ち着くでしょう。
VPSを使うメリットとは?
VPSを利用するうえではもちろんメリットとデメリットが存在しています。
まずは利用する前にどのようなメリットとデメリットが存在していて、自分は利用した方がよいのかをしっかりと見極めておきましょう。
VPSのメリット
通信速度があがり約定しやすくなる
海外のFX業者を利用しているケースでは、日本からのアクセスでは物理的に距離が離れすぎています。
通信の速度というのは、どれだけ良い回線を用意していても物理的な距離の限界があります。つまり、日本からアクセスしている限り海外FX業者での約定力は低下してしまうという事です。
約定しやすくするためには、取引しているデータセンターと注文を出している場所が物理的に近い必要があります。
一方でVPS上でシステムを動かしている場合、VPSの拠点と業者のサーバ間で通信を行う事になります。つまり、サーバ間の距離を日本から通信するよりも縮められる可能性があるわけです。
しっかり調べておけば間違いなく回線速度があがり、結果として約定力も上がることになります。
もちろん距離が離れているサーバを利用すると、回線の反応は遅くなってしまいます。
電気代を抑えられる
通常だとシステムトレードを行うためにはパソコンを24時間フル稼働させる事になります。
フル稼働だと、パソコンの性能などにもよりますが、1日20円以上の電気代がかかります。月間だと600~700円程度の電気代がパソコンだけでかかってくる計算です。
年間にすると8,000円以上かかると考えると無視できない金額になってきます。
VPSの利用料金を考慮する必要はありますが、電気代を抑えることには成功するはずです。
通常だとシストレは一度動かし始めると常に見張っている必要はありません。
そのため、以降はスマホなどを利用してたまにチェックするだけでも問題ありませんから、ほとんど電気代はかからない計算になります。
パソコンの損耗防止
自宅で利用しているパソコンをフル稼働させていれば、それだけパソコンは損耗していきます。
シストレでは24時間常に稼働させていく事になりますから、しっかりとメンテナンスを行っていたとしてもパソコンが壊れる時は壊れます。
パソコンの知識があれば、必要最低限のパーツ交換のみで対応できるかもしれませんが、そういった知識がなければまるごと買い替えなんて事になりかねません。
VPSを利用していれば、稼働させるのは仮想のサーバ上なので、自分のパソコンは一切利用しません。
つまりパソコンが損耗してしまう事もないわけです。
災害への備え
例えば地震や火災などで物理的にシステムの稼働が困難な事が考えられます。
その場合、自宅で稼働させていれば一切動かす事ができなくなりますが、VPS上での稼働であれば問題なく動いてくれます。
また、VPS上で稼働しているシステムはスマホ1つで簡単に停止する事もできます。
外出中にそういった操作が手軽に利用できるという点もメリットと言えます。
スマホからでも簡単操作できる
VPSはスマホから簡単にアクセスすることもできます。
完全に自宅で運用している場合、リモート操作するためには各種設定とセキュリティに気を配る必要がありますが、そうした部分が簡単に行えるので非常に便利です。
長期的に旅行するといったケースでも、スマホ1つあれば様々な状況に対応することができます。
VPSのデメリット
お金がかかる
通常VPSを利用するにはお金がかかります。サーバを借りるわけですから、当然それなりの金額です。
メリットに電気代を抑える効果があると書きましたが、この利用料金次第では数字の上ではかえって損をするかもしれません。
ただし、今回紹介するXMのVPSについては条件を満たせば無料で利用する事もできます。
安価に利用できるものがあれば、総合的にマイナスにならずに済む事もあるので、しっかりと調べて利用するようにしましょう。
システムトレードを活用しないと意味が薄い
システムトレードによって常にパソコンを稼働させている人にとってはVPSは効果が大きいのですが、手動でのトレードのみを中心にしている人にとってはVPSの利用は特に意味がありません。
VPSを利用してもお金がかかるだけになってしまうので、デメリットとは少し違いますが、利用すべきか先にしっかり考えましょう。
日本語非対応
海外のサービスですので日本語には対応していません。
利用時に難しい英語を使いこなせる必要はありませんが、どうしても日本語意外だと抵抗がある人も居るでしょう。
そういった人にとってはデメリットと言えます。
大抵のことは調べれば理解できるはずなので、やる気次第ではあまり対したデメリットではないかもしれません。
期待通りのスペックにならない可能性
VPSは1台のサーバを共有しているので、どうしてもカタログスペック通りの動きをしない事があります。
CPUなどの性能が期待した通り出ないことも少なくないですし、多少は同一マシンを共有している人の影響を受けてしまうこともあります。
特に回線に関しては他の人の影響を大きく受ける傾向にありますので、注意が必要です。
そういった部分を解消するためにはVPSではなく専用のサーバを用意する必要がありますが、そちらは非常に高価なので難しいと言えます。
XM(XMTrading)のVPSのスペック
ここからはXMのVPSに特化して解説していきます。
VPSを利用するうえで確認しなければいけないのは、そのスペックでしょう。
XMのスペックは以下のようになっています。
- RAM:1.5GB
- HDD:20GB
- CPU:1コア600MHz
完全な専用サーバと比較してしまうと劣るものの、通常の利用方法では十分に機能するだけのスペックと言えます。
また、XMのVPSはBeeks社提供です。
実はBeeks社はXMのデータセンターと非常に近いので、物理的に回線速度の面で有利になります。
どれだけ環境を整えても、距離が近いことには勝てませんから、それだけでもXMのVPSを利用する価値はあると言えます。
この距離による優位性はサーバのスペック以上の価値があります。
実はBeeks社の提供するVPSのサービスは他のプランも存在していて、XMの提携しているものはランクが低いものになっています。
そして、このプランはXM経由では変更することができません。
XMのVPSでは、もちろんMT4を利用すことができ、複数同時に利用する事も可能です。
とは言っても、スペックから考えてあまり大量に同時利用することは少し難しいかもしれません。
最低限はきちんと動くといったイメージでしょうか。
XM(XMTrading)のVPSの利用条件に注意
さて、XMのVPSですが、利用するにはいくつか注意しなければならないポイントがあります。
この章では注意すべきポイントについて解説していきます。
無料なのは条件をクリアした時のみ
XMのVPSは無料で利用する事も可能で、これ自体はメリットでしかありません。
しかし、無料利用するためには条件をクリアしている必要があります。
具体的には、5,000ドルの口座残高に加えて、往復5lot以上つまり50万通貨以上の取引が必要になります。
この条件は毎月チェックされ、満たしていない場合はVPSの利用に28ドルかかることになります。
XMをメインで利用していれば問題無い範囲ではありますが、無料で利用した人はチェックしておかなければいけないポイントです。
有料の場合、残高不足だと強制解約
MSのVPSは条件を満たしていれば無料ですが、そうでなければ有料で利用する事になります。
そして、利用料金は取引口座から自動的に支払われるのですが、この際に残高が足りないと強制的に解約されることになります。
また、残高はポジションを持っているかどうかでも計算が異なります。
- ポジションあり:有効証拠金-クレジット
- ポジションなし:余剰証拠金-クレジット-証拠金×0.5
という計算になりますので、注意して口座の残高を管理しておく必要があるでしょう。
XM(XMTrading)のVPSを使うのはハードルが高い
ここまでXMのVPSについて解説してきました。
特に皆さんが気になっているのは、実際にXMを利用したら得なのかという事でしょう。
まず、XMのVPSを無料で利用できれば多くの場合は得をできます。
そのためには無料の条件を満たす必要がありますが、日本円で最低でも60万円ほど用意する必要があります。
しかし、FXですから損をする事も有り得るので、判定されるタイミングで確実に5,000ドルをクリアできるように、資金は多めに持っておくべきでしょう。
安定して無料で利用するためには80~100万円程度は取引口座に入れていなければなりません。
この時点で、メインの取引口座でなければ厳しいという方も少なくないはずです。
また、取引が往復5Lotという制限もあります。
これ自体は資金が潤沢であれば問題になることはありませんが、ギリギリの金額で運用している場合だと届かない可能性もあります。
特にシステムトレードで自動化している場合、売買のタイミングを調整して月間5Lotをクリアするようにしなければならない場面も出てきます。
レバレッジをかけていれば5Lot自体はすぐに達成できる範囲ではありますが、運用次第では注意しておかなければ無駄な出費につながってしまいます。
XMのVPSは海外FX中級者〜上級者向き
XMのVPSを無料で安定して利用できる程度の資金を確保できれば得ですが、FXをしている人のすべてが条件を簡単にクリアできるわけではありません。
特に初心者にとっては100万円近い金額を用意するのはハードルが高いでしょう。
無料で利用できない場合は、他の有料VPSの方がスペック面で勝っている事も少なくありません。
特にMT4を複数同時に何個も動かすという事を想定すると、XMのVPSは少しスペックが足りないと感じる事もあります。
そういった使い方をする場合には、他社のVPSサービスを利用するといった方法も考えられます。
これらの事を考えると、XMでVPSの利用をするのは、一般的にはハードルが高いと言えます。
これからFXを始める人や、小資金から運用をはじめたばかりの人には無用の長物ですし、逆に使用料を払うだけになってしまうかもしれません。
ある程度トレードに慣れてきて、資金にも余裕がある人にとっては便利なサービスですが、誰にでも恩恵があるわけではないと覚えておきましょう。